主人の実家がある釧路に帰省する度に「なごやか亭」という回転寿司屋さんに必ず行きます。
海なし県で生まれ育った私にとって、この回転寿司に初めて行った時は衝撃的でした。
まず、当たり前ですが美味しい。北海道だから地元で捕れた魚が多いのでしょう。とても新鮮なのです。そして安い。どれも私の地元で食べたら1皿400円くらいしそうなお皿が100円台から。
中でも一番驚いたのが「こぼれイクラ」と「こぼれ甘エビ」なる商品。
まずネタの乗っていない軍艦がお皿の上に登場します。そして店員さんが「こぼれイクラいただきましたー!それでは参ります!いっぱーい!にはーい!」としゃもじのような大きさのスプーンでイクラの入った容器からネタのない軍艦の上にイクラをよそっていくではありませんか!そして目の前に出されたお皿には、その名の通り「こぼれイクラ」が。
白米はどこ?と言いたくなるくらいのボリュームです。これは贅沢以外の何物でもない、と思いました。他の地域で食べたらきっととてつもなく高級品になってしまうでしょう・・・。
こぼれ甘エビも同様に軍艦の上に大量の甘エビ。一度数えたことがありますが20本弱乗っていたと思います。甘エビ軍艦にプラスして、甘エビのお刺身が楽しめてしまいました。他のネタも勿論新鮮で美味しいですが、是非このこぼれシリーズは色々な方に体験していただきたいです。しょっちゅう食べに行くよ、という義両親が心底羨ましいです。
こんな飯は?
主人が東京出張の際に、いつもお土産に買ってきてくれるのが、空港で売っている焼鯖寿司です。
寿司飯の間には生姜と椎茸、紫蘇。そして、寿司飯の上には、こんがりと焼かれた肉厚の鯖。
たったそれだけなのに、本当にやみつきになる美味しさです。
関西では、バッテラという焼いてない鯖を乗せたお寿司があります。
鯖も酢で味つけされており、それはそれで美味しいのですが、また全然インパクトが違うのです。
鯖自体も違うのかも知れません。バッテラの鯖は、どちらかと言うと、薄く切られています。
寿司飯もあっさりしていて、大人しい、シンプルな味です。
それに比べて、焼鯖寿司の方は、野性味あふれていて、とにかく、鯖の存在感がすごいです。脂の乗った鯖は、ともすればしつこく感じられがちですが、そのしつこさを生姜と紫蘇が打ち消してくれています。
鯖だけでは何の変哲もないおかずなのですが、それが下の寿司飯と合体することで、口の中で独特のハーモニーを醸し出し、一切れ、また一切れと手が出てしまいます。
この焼鯖寿司を創り出した方のセンスに、毎回感服してしまいます。他の鯖寿司も食べてみたことがありますが、これ以上の味は未だ体験していません。それが、みち子の「若狭の浜焼き鯖寿司」です。
こんな飯は?
通常我が家ではポテトサラダは、マッシュポテトの中に超みじん切りにした玉ねぎを入れ、黒コショウを控えめに加えただけの味付けにしておきます。
レタスやコールスローと一緒に盛り付け、「さあ、各々好きな調味料をかけてお食べ!」という感じです。
そこからゴマだれに行く人もいれば、マヨネーズを回しかける人もいます。
基本形はそんな感じですが、たまにアレンジしてタラコを入れることもあります。
タラコを加えたマッシュポテト、タラコが入っているジャガイモサラダ―――略してタラモ。そう、タラモサラダ。
単純にそう思っていました。
でも…違いました。
「タラコとジャガイモのサラダ」の略語じゃないんですね。「タラモ」ってギリシャ語なんですね…。そういう単語がきちんとあるんですね…。
ザ・勘違い! 恥ずかしいーっ!! 超恥ずかしいーっ!! いい年して知らな過ぎ!
かなり自己嫌悪に陥りました。
でも、よくよく調べてみたら「タラモ」は「魚の卵」を意味するらしく、あながち間違ってもいないんじゃないの? と
言い訳してみたりと、日々迷走しております。
とりあえず、これからも我が家のサラダは基本みじん玉ねぎ入りマッシュポテト、たまにアレンジして
タラコとジャガイモのタラモ(敢えての誤用を継続)、これで行こうと考えています。
こんな飯は?
茶碗蒸しの具材――各家庭で様々なものを入れると思いますが、我が家はシイタケ・ぎんなん・蒲鉾・エビ・三つ葉・鶏肉(ささみ)を入れます。
そして時にはうどんも入れます。別名「おだまき蒸し」。うどんが加わるだけでボリュームが出て、別物のように感じます。
そんなおだまき蒸しが好きな私ですが、常々なぜうどんが入ると「おだまき」なの? そもそも「おだまき」って何?
と、小さな茶碗からプルプル玉子をすくいながら思っていました。
「おだまき」……歴史好きな人ならピンと来るかもしれません。
一般的ではない単語ながら、日本史の某エピソードに登場しますよね?
まあ、知る人は知っている知らない人は全く知らない、日本史上のそこそこ有名な悲恋カップルのエピソードですが。
そう、平安末期の武将源義経の愛妾、あの静御前が詠んだ歌!
「しづやしづ しづのをだまき くりかへし むかしをいまに なすよしもがな」
あの「おだまき」なのです!
茶碗蒸し内のうどんは「しづのをだまき」のおだまきなんです!
同一の物です。びっくりです。こんなところでつながるなんて!
おだまきは麻糸をくるくるまとめたボール、今で言うところの毛糸玉のようなものですが、うどんをそれに見立てたのでしょうね。
だから、おだまきに似たうどんが入っている茶碗蒸しは「おだまき蒸し」。
なるほどなるほど。
そう分かった上で食べると、何やら味に深みが出るような、やっぱり気のせいのような(笑)。
いかがでしょう。
茶碗蒸しだと思ってスプーンですくったらおだまき蒸しだった時、茶碗の中に思いがけずうどんの姿を発見した時、麻玉や静御前に思いを馳せつつ食してみては?
こんな飯は?
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